「イクメン」から「アロマザ」へ

男の子育ては今や常識?
いやまだまだ女性が担っているのが現実…。
しかし子育てに男も女もないことを人類の歴史と文化が示しています。

人間の妊娠、出産、育児はほかの種に比べて大変負荷が大きく、
進化の過程で不利だったといわれています。
にもかかわらず生き延びたのは弱点を「共生」という知恵で乗り切ったからです。

妊娠期間が長く出産後も新生児を抱えて他の強い動物に捕食されないで生き延びるには、
父や母だけで子を育てるわけにはいかなかったのです。
群れを作り、コミュニティを作り、社会を作ることであらゆる難問を解決してきたといえます。
しかもそれは文化という形で次の世代に伝え、蓄積し進化してきました。

子育てもその一つです。
子育てを女だけ、男だけ、親だけでやることは危険なのです。
こうした母以外の夫、血縁をこえた他者が子育てにかかわることを「allo mothering」(アロマザリング)と言います。
これが本来、人類の子育て形態なのです。

ところが今の子育ては「孤育て」といわれるほど親の孤立が深刻です。
「子育ての危機は人類の危機」です。
孤立した子育ては個人の問題を超えた人類の種としての問題です。

シングルマザーもシングルファザーも
女親も男親も他者の力を借りる人間の知恵を忘れないでケサインね!

鈴木 俊博:子ども虐待防止ネットワーク・みやぎ事務局長、ソーシャルワーカー、
特定非営利活動法人せんだいファミリーサポート・ネットワーク理事。2児の父

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